実存、愛、経済――人々を窒息させている3つの鎖

  • 2018.07.02 Monday
  • 19:41

 

 

 

 

現代の日本社会にどこか閉塞した空気が漂っていることは、よほど鈍感な人や恵まれすぎた人でなければ、おそらく多くの人が同意するでしょう。

 

それは"空気"だけでなく、自殺犯罪の発生、実質賃金の低迷貧困家庭の増加といった外的事実として顕在化しています。

 

 

 

けれども、その原因は何でしょうか。個別的には様々な原因が絡んでいるでしょううが、現代社会の閉塞性の最も中核にある原因とは、いったい何なのでしょうか。

 

 


ぼんやりとテレビや新聞に接している人々が、なんとなく雰囲気として感じとっているのは、こんな理由づけかもしれません。

 

少子化だから」

成長の時代は終わったから、お金がないから」

「生活のスピードが速くなりすぎて(利便性に頼りすぎて)、人々の心がすさんでしまった(他者や地域との交流を失ってしまった)から」

「理由もなにも、いつだって社会はこんなものだよ」

 

 

 


しかし、これほど重大な問題を、なんとなくの雰囲気で片づけるわけにはいきません。

私が5年ほど探究した限りでは、その原因は大きく3つ(か4つ)に分けることができます。

 

 


おそらく、最も大きいのは、経済とお金の問題です。

 

考えてもみてください。

 

どうして私たちは、これほど技術が進歩したのに、朝から晩まで馬鹿みたいに働いているのでしょうか?ちょっと子どもが減っているとか、老人が増えているとか、そんなレベルの話ではないと思いませんか?

 

どうして政府は、それも世界中の多くの政府が、莫大な額の借金を抱えているのでしょうか?ちょっと無駄遣いをしたとか、成長が停滞しているとか、そんな種類の話ではないと思いませんか?

 

どうして世界の上位8人が、世界の下位50%と同じだけの資産をもっているのでしょうか?彼らは本当に、それだけの社会的価値を世界に提供したのでしょうか?

 

 


端的に言えば、無知惰性誤った推論に基づいて、日本、そして世界の経済は運営されつづけているのです。

 

加えて、お金のシステムそのものが全く公正ではありません

 

一般的に言えば、若い世代であればあるほど、この問題による悪影響や実害は大きいですが、近年その悪影響は様々な年齢や境遇の人に波及しつつあり、何かがおかしいと感じ始めている人は着実に増えていると思われます。

 

もっとも、その疑問をきっかけに、本質的な理解に至るまで学習を重ねている人は稀ですが...

 

 


では、お金をそれなりに持てている人はだいたい幸福かというと、

 

物質的な面、ないし金銭で交換可能な面においてはそうでしょうが、内面の豊かさや真正性、幸福の深さや持続性や安定性という点では、多くの場合にそうとは言えないように思われます。

 

つまり、経済とお金の問題は極めて深刻ですが、同時に、それだけには還元しきれない内面や心身の問題も深刻なのです。

 

 

 

端的に言えば、人々の「実存」及び「」(と私が名づけている領域)が、古臭いままで全く洗練されていないか、あるいは、昔よりずっと偏狭なものになっていると思われます。

 

私たちの思考内省の在り方、他者との対話交友の在り方、真理の探求の在り方、そして未知に対峙する在り方は、とても粗雑で、あるいは近視眼的で、あるいは注意散漫なものだと思いませんか?

 

私たちの性愛恋愛の在り方、家族養育の在り方、幸福よろこびの在り方、そして友愛協働の在り方は、とても因習的で、あるいは即物的で、あるいは縁故主義的なものだと思いませんか?

 

 

 

 

 

...とはいえ、詳細はこの記事だけではとても述べきれないので、各領域ごとに、いくつかのキーワードと、参考になると思われる国や文化を挙げておきたいと思います。

 

 

〔注1〕なお、これらに加えて、科学技術ないし「テクノロジー」の領域にも大きな問題があると思われますが、私自身があまり探究できていないのと、上記3つの中に適宜組み込めなくもないという観点から、省略しています。

〔注2〕上記に記したのはあくまで「キーワード」であり、実現したい内容だけでなく、克服したい内容(例えば「債務貨幣システム」「日本型近代家族」)も含まれています。

 

 


なお、各領域におけるキーワードを4段に分けたのは少し意味があって、

 

経済の領域で挙げたキーワードは、それぞれ、主に財政の根本に関するもの(通貨発行権、政府紙幣、日銀の国債引き受け)、格差拡大の根本に関するもの(金融資本主義、ピケティの不等式、資本所得課税)、通貨システムの根本に関するもの(信用創造、債務貨幣システム、公共貨幣)、労働と所得の根本に関するもの(ベーシックインカム、国民配当)となっています。

 

実存の領域におけるキーワードは、私が最も重大な喪失であると考えているもの(究極的関心〔ウィルバー/ティリッヒ〕、スピリチュアル・インテリジェンス(SQ))、既に心理学の世界で扱われているもの(マインドフルネス、リフレ―ミング、瞑想)、哲学の大家たちが重視しているもの(パレーシア及びアスケーシス〔フーコー〕、崇高〔カント〕)、理性と霊性の協調をとくに示唆するもの(哲学的信仰、公共神学、宇宙的宗教)となっています。

 

また、愛の領域におけるキーワードは、主に性愛に関するもの(フロー・セックス、サトル・ボディ)、家族の形態に関するもの(日本型近代家族、婚外子、シビル・ユニオン)、恋愛の形態に関するもの(オープン・マリッジ、ポリアモリー)、民主的市民としての在り方〔異なる他者との友愛の在り方〕に関するもの(活動〔アーレント〕、熟議民主主義)となっています。
 

 

 

 

さて、このように非常に異なる領域のものを並べると、おそらく興味を持てないものや、いぶかしく感じるものもあるかと思いますが、是非、今の自分の心に引っかかるものだけでも、調べてみてほしいのです。

 

Googleで、あるいはAmazonで(Google検索だけだと偏った情報や表層的な情報にしかたどり着けないことも多い)、あるいは書店や図書館の情報システムで、検索してみてほしいのです。

 

きっと、様々な関連書籍が出版されていること、様々な人が関連情報をウェブ上で発信していること、様々な関連イベントが開かれていること、そしてときには関連プロジェクトが既に進められていることに気づくでしょう。

 

たとえそこで出会った考え方や思想に同意できなくても、あるいは何とも判断しかねるものだと感じても、こうした根本的な論点を自分の中に懐胎させておくことは、自らの潜在的な器を大きく広げ、未来に起こりうる変容を、より包括的なものにしてくれるのではないかと思います。

 

 

 

しかしもちろん私は、どの領域についても、必要な時間と労力をかけて十分な探究を行えば、基本的な方向性は多くの人に賛同してもらえるはずだと考えているのであって、単なる私の意見ではなく、社会全体として目指すべき未来だと主張しているわけです。

 

 

 

自分たちでつくり上げたお金のシステムに使われるのはこのあたりにして、世を経(おさ)め、民を済(すく)い、そして、本物の超越と本物の内在に満ちた世界を、この惑星に、そしてこの宇宙に、一緒に創り上げていきませんか?

 

 

 

I have a dream... それが私のなのです。

 

あなたはまだ、夢を――本物の夢を――見ることができますか?